宋慶齢基金会日中共同プロジェクト委員会(JCC)


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母子保健支援(生命工程)の旅
2003年9月13日~9月19日訪中団報告

はじめに 旅日記
  2003年9月13日2003年9月14日2003年9月15日
2003年9月16日2003年9月17日2003年9月18日2003年9月19日

旅先 上海、貴州省
期間 2003年9月13日~9月19日
報告 山下知子(小児科医)
澤田陽子(看護師・助産師)
井岡今日子(写真家)
白鳥真樹(大学生)


※写真をクリックすると拡大して見ることができます。
はじめに
凱里市の風景
凱里市の風景
 JCCニュース№4、№5、№6で報じてあるように、自然環境がきびしく、文化、経済条件に恵まれない山村では、妊産婦、胎児及び乳幼児の死亡率が高い。ここで、母子に適切な指導、医療が実施されれば、多くの生命が救われると考えられた。そのため、貴州省凱里市三か樹鎮では、衛生院内に母子保健センターが建設され、本年度は、当地で必要とされた産科、新生児に関わる 医療機器・設備16品目の購入・設置とスタッフ6名の研修・訓練を支援することになった。その現地視察が、今回の旅の主な目的である。
(山下知子)
参加者: 久保田博子(JCC代表)  須藤 れい(同副代表) 井岡今日子(同理事)
山下 知子(同正会員) 澤田 陽子(同支援者) 白鳥真樹(同支援者)
中国側同行者: 梁于藩(中国福利会副主席)  艾柏英(上海宋慶齢基金会秘書長)
管建華(上海宋慶齢基金会副主任)  姚健健(上海楊子国際旅行社部長)


旅日記

9月13日
上海の事務所 領収書を収めた
上海の事務所 領収書を収めた
成田11:05発、上海浦東13:10着 上海賓館泊

上海宋慶齢基金会表敬
●上海宋慶齢基金会・中国福利会事務所
●支援寄付395万6,800円に対する謝辞及び領収証を収めたBOOK

9月14日
宋慶齢陵園 献花
宋慶齢陵園 献花
10:00~宋慶齢陵園参拝、宋慶齢資料館参観    
●前山加奈子さん、江上幸子さんも参加して記念撮影
●宋慶齢女史のお墓に献花
虹橋13:20発 貴陽16:40着 貴州飯店泊
18:00 貴州省衛生庁の招宴(貴州飯店4F天皇庁)
貴州省 雲貴高原の東部に位置し、高原の大部分は石灰岩のカルスト地形で平地は少ない。市部は山間盆地に点在している。70%が山地。
省都貴陽の人口 約3800万、市部の人口 約191万。17の少数民族が住む。
主な産業 農業―米、とうもろこし、じゃがいも/茅苔酒の主産地    
工業―水力発電(供給基地)、冶金、地下資源が豊富―水銀、珪石ほか

9月15日
凱里市の風景 三か樹鎮の風景
凱里市の風景 三か樹鎮の風景
8:30 貴陽から凱里市へ:

山、岩、段々畑が続き、黒っぽい古い家が点々とするが、舗装された道路はまだ新しい。途中1時間ほど道に迷い、凱里市政協副主席の劉徐慶さんに出迎えていただき、4時間を経て騰龍凱悦飯店に到着。

敬酒
敬酒
呉栄陽凱里市市長招宴(亮観楽―民族レストラン):ミャオ族、トン族の女性店員に民族衣装で歌いながらお酒を勧められ、“酸魚湯(鍋料理)”・米豆腐などをご馳走になった。
凱里市の人口の60%はミャオ族・ブイ族・トン族などの少数民族
男女の比率 男1:女12 (2000年)
面積 131平方km
市内に人民病院1つ、保健院1つ、医療専門学校1つ、中学校7つ、高校2つ
◎凱里市三か樹鎮にて
三か樹鎮衛生院に 「婦幼保健中心(母子保健センター)」誕生
JCCより支援寄付目録及び記念品(時計)を贈呈
 
贈呈式 会場 衛生院全景 スタッフと記念写真
贈呈式 会場 衛生院全景 スタッフと記念写真
衛生院に設置されたJCC寄贈の産科・新生児医療機器・設備16品目を視察
 
携帯式監護儀
携帯式監護儀
婦科総合台
婦科総合台
超音波診断儀
超音波診断儀
嬰児復蘇救急包 小児吸痰器 胎心監護儀 
嬰児復蘇救急包
小児吸痰器
胎心監護儀
嬰児光療培養箱
嬰児光療培養箱
新生児救急台
新生児救急台
麻酔機
麻酔機
電熱焼火勺器 微波多功能治療儀 無接触輸酸素面罩
電熱焼火勺器
微波多功能治療儀
無接触輸酸素面罩
電動流産吸引器
電動流産吸引器
嬰児輻射保暖台
嬰児輻射保暖台
新生児
新生児
母子保健センター誕生の同日正午に同センターで生まれた赤ちゃん:須藤副代表は、この母親にお祝いとして100元あげた。
JCC支援の医師、看護師・助産師の研修を参観(中学校校舎)
 
研修の参観 養成スタッフと記念写真
研修の参観 養成スタッフと
記念写真
三か樹鎮の賞郎小学校を訪問:母子保健センター設立を記念して当地の小学生に奨学金給付を企画したい旨の申し出が創価大学学生からあったため。
賞郎小学校
賞朗小学校の入り口
賞朗小学校の入り口
教室の中
教室の中
ぼろぼろの教室
ぼろぼろの教室
 1-6学年制で全生徒数260名、内31名が寄宿舎生。校舎は、1960年代の下放青年たちが家畜を飼育していた建物をわずかに改修したもので、甚だしく老朽化している。雨が降ると床が水浸しになり、はだしで授業を受けるという。室内は暗く、電球もないので、目が悪くなる生徒が多い。
  1年間の教科書代は、160元(約2400円)。両親がいなかったり、片親の子は、他の生徒が雑費として納入したものにより援助されている。


★いま、賞郎小学校は、校舎建てかえの資金(400万円)援助を求めている。
ミャオ族の村―「南花」を訪問。民族衣装で歌い、踊る男女の群れを見て、ある種の郷愁を覚え、そのうち誘われ、私たちも、その衣装をまとい、ともに踊った。
南花村の門 ミャオ族の女性たち 子守する男の子 一人で遊ぶ
南花村の門 ミャオ族の女性たち 子守する男の子 一人で遊ぶ

9月16日
凱里市から恵水県へ:
衛生院待合室の父と子
衛生院待合室の
父と子
同県は、上海宋慶齢基金会を通じて日本外務省「草の根・人間の安全保障無償」に母子保健センター建設資金援助の申請を出している。JCCは、その助言者としての立場から現地視察を行った。
15:00ごろ 恵水県擺榜郷衛生院に到着。
17:00ごろ 明清時代の名残をとどめる青岩鎮を観光
衛生院の人と記念写真 父と子の家 とうもろこしを蓄える家
衛生院の人と
記念写真
父と子の家 とうもろこしを
蓄える家
貴州省恵水県
人口は43万、人口の58%を少数民族が占め、ブイ族が多い。25の郷と鎮からなる。恵水県擺榜郷衛生院を巡る状況
常駐スタッフ5人、巡回スタッフ4人/専門医を含め10人以上の人材が必要
県の医療巡回者は半月に1回、交代で滞在
基礎的医療機器・設備がなく、薬も不足するので、簡単な手術しかできない。
年間140~150人出産しているが、入院出産は10人程度。
新生児死亡率は10%、小学校入学まで育つのは80%。
子どもの死亡の主たる原因は、肺炎・下痢・心臓病。
各村で簡単な出産指導・医療ができるように保健院を作りたい。
★母子保健センター建設資金は、400万円ほどです!
9月17日
日中共同会議
日中共同会議
再び上海へ 貴陽8:40発 上海14:50着
16:00 日中共同会議(上海宋慶齢基金会会議室)
20:00 黄浦江遊覧
9月18日
中国福利会国際和平婦幼保健院訪問
保健院参観 新生児に按摩をする 水泳をさせる
保健院参観 新生児に按摩をする 水泳をさせる
程利南院長の話
生活レベルに合わせて金銭面の対応をする。
①上海医療保険以内の貧しい人
②サラリーマンなど
③VIP(アメリカ人、日本人、政府関係者)どの場合も医療のレベルは変わらない。
この病院では世界中からの支援を受けているが、VIPも保健院に寄付をする。
→それを医療費を払いきれない人に対する援助に回している。
地上16階の新しい建物ができる予定である。3階まではアメリカと共同合作
貧しいところにスタッフを巡回医療させ、援助活動を行っている。
① 内モンゴルに医療スタッフを派遣している。費用は当方負担。
② 貴州省にレベルの高い講師を派遣、講義を行っている。
全国各地から研修者が当方に来ている。
上海ではすべての子どもが予防注射を無料で受けられるようになっている。
赤ちゃんに水泳させたり、按摩をしてあげる方法もとりいれている。
赤ちゃんを愛するモデル病院になっている。
山下知子記
11:30 孫中山故居見学
18:00 答礼宴(お世話になった方々を招待 20人余)
9月19日
中国福利会幼児園の中 幼児園の外
中国福利会
幼児園の中
幼児園の外
中国福利会幼児園(浦東)訪問
15:55発にて帰国
 

―中国・貴州省凱里市三か樹鎮母子保健センター視察に参加してー

 須藤先生のお誘いを受け、初めてJCCの訪中に参加させていただきました。
 今回は、生命工程の中の産科医療設備、助産師養成支援ということでありましたので、東京で30年近く助産師として働いていた者として、同行させていただいた次第です。
 貴州省凱里市三か樹鎮の衛生院では、炎天下の中、熱烈な歓迎を受けました。たくさんの皆様の喜びがひしひしと伝わってくる感じでした。
 日本ではどこの医療機関でも見られる見慣れた機器ではありますが、しっかりと赤い文字で「日本宋慶齢基金会日中共同項目委員会贈送.2003.8」と印字して、設置されているのを目の当たりにすると、少し胸にこみ上げるものがありました。
 私たち一行が到着する少し前に生まれたばかりという赤ちゃんとそのお母さんにお目にかかることもでき、とても感動的な場面もありました。
 これらの機器が十分活用され、これからの母子保健の発展に役立つことを願いつつ衛生院を後にし、研修生の研修の場所である中学校へ向かいました。
 パワーポインターを使用しての講義風景を見学することができました。
 翌日は、貴陽市恵水県の衛生院訪問をしました。手術室、病室などを見学させていただきましたが、手術室といっても粗末な手術台と無影燈が一個あるだけで、窓ガラスも割れたままで、ハエが飛び交うという有様でした。医療教育を受けて働く人たちが、こういう状況を何とも思わないのだろうか、という思いさえいたしました。
 上海で訪問させていただいた保健院とのあまりにも大きい差にただただ驚かされることの多い旅でしたが、中国という大国をほんの少しだけ知ることができた事を心より感謝いたします。
澤田 陽子

<2012年8月プロジェクト現地視察報告> 理事 井岡今日子

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