2007年5月30日(水曜日) |
北京・浙江大廈(8:00発)→河北省易県へ向かう
JCCチャーターの観光バス/紙芝居50携行
10:30
県境に教育局肖鵬副局長、高建勇さん出迎え
紙芝居担当として張課長同行
11:25
西稜行宮(XINGCONG HOTEL)到着
13:05 柳田奨励金授与:西稜行宮招待所にて中学3年女子学生黄・崔・何・呉さん等5名に山下副代表より手渡す。中学生とはいえ、16歳から19歳までの女学生であった。
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3時間半のバス旅行で易県・西稜行宮に到着した。西太后が一族の墓所を参拝される折に宿泊所とされたという西稜行宮は、往時のままの姿を留めた小宮殿である。目の前に忽然と現れた優雅な建物に、一行は目を見張ってしまった。現在はホテルとして使われているとのこと。
ここで2泊できるとは、なんという幸運なことだろうか!
*昼食後には3校を訪問するという強行スケジュールが待っていた。
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15:00 流井郷中心幼児園訪問: 5歳児のクラスで紙芝居を実演し、その効用を史流井幼児園園長、張課長らに伝える。ダルマ落としや紙風船で子どもたちとも楽しく交流ができた。
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流井郷中心幼児園は、園舎も以前より整備されており、「見違えるようだ」と久保田団長。紙芝居の普及・伝達という重大な使命を帯びての訪問であったが、周さんの熱演により子どもたちも集中して見入っていた。その集中振りから推して、まずまずの成果を挙げたように思われる。
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園長先生に折り紙を伝授する斉藤理事 |
贈呈する紙芝居にシールを
貼る教育局肖鵬副局長 |
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16:50 豹泉小学視察:図書贈呈校ということで訪ねたが、余りにもみすぼらしい佇まいに言葉を失ってしまった。客人を招き入れる応接室も空き教室もなく、話し合いは木陰で行われた。
5-6年生4クラスのうち、真ん中の2教室は古くて何時壊れるか危険という話で、裸電球ひとつがぶら下がった暗い教室で子どもたちは実に静かに熱心に学習していた。作文の時間ということで、2-3の生徒さんに朗読してもらった。通訳を通してではあったが、詩情あふれる文章に一行は皆感動を覚えた。贈呈図書は書架の隅に置かれたまま、という感じがした。「1年生から6年生まで在籍できる中心小学校にしたい」と成校長は真剣な面持ちで語ってくれた。
18:20
夏庄小学視察:ここも図書贈呈校ということで、視察の対象となったが、豹泉小とは対照的に整った小学校であった。花壇等アプローチもよく手入れされ、校舎内の整備も行き届いている。楊校長先生は、11名の3年生が蛍光灯の下で学ぶ教室や理科実験室を案内しながら、学校の歴史についても語ってくださった。1987年4つの村の中心小学校として設立され、現在の生徒数は120名。教師は13名、蔵書は3,500冊(贈呈図書もきちっと整理されて置いてあった)、レベルはトップクラスという。特別プロジェクトも取っており、7月には新校舎も完成し、生徒数も240名となる予定という。応接室でスイカをご馳走になりながら、「教えることも導くことも全力で」「教育計画を完成し、教育理論を学び、教育実践、教育方法を見直し、教育の質を上げる」等々、校長先生が歯切れよく説明される教育方針を傾聴する。
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小学校2校のありように格差がありすぎてショックでもあった。「河北省は貧困地域」と関係者はよく口にしたが、「それにしても」である。
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19:30過ぎ
★西陵行宮招待所に帰着 |
2007年5月31日(木曜日) |
9:30会見 易県県庁表敬:へぇ順清副県長。張教育局長と会見。白馬中学寄宿舎建設支援基金・紙芝居50セットの寄贈目録を贈呈する。
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朝は早くから鶏の「コケッコッコー」と時を告げる高い鳴き声、「ホッホー、ホッホー」と啼く鳥の鳴き声に目覚める。早朝から庭園を散策し、全員が四葉のクローバを見つけた。 |
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11:00到着 白馬中学訪問:寄宿舎建設支援についての話し合い、その他の易県教育支援について協議。柳田基金を使って改装したという旧校舎転用の寄宿舎を視察した。
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新築の白馬中学 |
旧校舎全景 |
旧校舎に作られた調理室 |
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その一隅にある調理室で作られた昼食を試食する。味は家庭的でおいしかった。
今年度の机と椅子、図書贈呈についての話し合い:肖副局長の話によれば、「机と椅子の援助は有り難い。建物への援助は国からあるが、備品費は出ない。沢山沢山、机と椅子がほしい。50年も使っているものもある」とのこと。図書については「購入図書一覧」の提出と「書架」の設置を当会から要望した。
13:45~ 界安初級中学視察:年間45万円を当てて400セットの机と椅子を贈呈している寄贈先の一つである界安中学を、昨年校長に就任したという飛学好校長先生の案内で一巡した。一校100セット程度となるため、整った机と椅子で学ぶ生徒は二クラスにも満たない状況で、教卓も机もガザガザにささくれ立ち側面が欠けた状態のみすぼらしい物ばかりであった。一クラス70から75人程度のすし詰め状態の授業風景に、50数年前の日本の授業風景が重なった。日本もついこの前までは、決して豊かではなかったことを忘れないようにしたいものだ。
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参観者一同が感心したのは、授業に向かう生徒たちの静かさであった。日本で問題になっている「私語」や「立ち歩き」「揶揄」がない。
参観者がいるから・・・とも思われたが、そんなに取り繕えるものでもない気もして、農村の中学生の学習意欲というものに興味が注がれた。暗い教室のなかで70名もの生徒はシーンとしている光景は、日本では想像できないのではないだろうか。
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14:50~ 裴山中学視察:2001年に新築なった美しい校舎に2005年、JCCが机と椅子を贈呈した。1年2クラス、2年2クラス、3年3クラスの計7クラスで、生徒数は450名程度(寄宿生120名)。スタッフは33名(教員22名、コックなど11名)、1年生の1クラス規模は75名で教師が足りないという。覗き見るどのクラスも実に静かであった。
一般の教室棟とは別に特別教室棟、管理棟、寄宿舎が広い校庭に点在しており、校門脇には深紅のバラが咲き乱れ、手が行き届いた感じのよい中学校であった。バラ園作りをしているのは生物の先生とか。校長の賀文成氏は齢38歳、2002年からここの校長をしているとのこと、校長の在任期間の規定はないということであった。
未来に向けて教育の理想を語る青年校長の姿に、中国の明るい未来が見えるようであった。さわやかな風が吹き抜けたような、すがすがしさを貰って、裴山中学を後にした。
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寄宿舎 |
美しく整頓された室内 |
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天井のない教室に裸電球というスタイルになれた頃、裴山中学で始めて蛍光灯の光を目にすることができた。
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